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【映画レビュー】今年度アカデミー作品なのに認知度が低い『A Night at the Garden』

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今回紹介するのは第91回アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネートされた『A Night at the Garden』を紹介します!

 ↑本題から読む場合はこちらをクリックしてスキップしてください。

 

まず今年のアカデミー賞を振り返ると、

 

色んな意味での前代未聞の『Roma/ローマ』ではなく王道の『グリーンブック』が制しましたが、いつかは非英語圏作品の作品賞もあるかも知れないと感じただけでもすごい年でした。

 

そして意外過ぎたのが主演女優賞をグレンクローズにあげてほしいと皆んなが思っていたのにまさかのオリビアコールマンがとったこと。その代わりに彼女のスピーチは最高でした。

清掃員の頃の話なんてしなくていいのに!笑

 

あとは美受賞と衣装デザイン賞はアカデミーの傾向からしたら時代劇かつイギリスにあげてるイメージあったので『女王陛下のお気に入り』が制するかと思ったら『ブラックパンサー』が持って行くのも意外でしたね。たしかに『ブラックパンサー』はアフリカ文化を維持したままサイバーパンクになった世界を圧倒的な物量で表現していたので受賞したのでしょうかね。

あと全体のバランスとかもいつも取られているのでブラックパンサーが何もとらないのはまずいというのもありますよね。

 

そして個人的に悪い意味で意外だったのが編集賞が『ボヘミアンラプソディー』ということ。あれってむしろ編集以外が評価ポイントじゃないの?笑

 

 まあどちらにせよ、

アカデミー賞は作品賞は1作品しか選ばれないので、作品賞候補で他の部門をまんべんなく受賞してバランスが取られる事が良くあります。

もちろん10部門以上を総なめするような映画もありますが、基本的には今年のような感じになります。

 

そんな中でもどうしても知名度が低くなってしまうのがドキュメンタリー部門です。

アカデミー賞では長編ドキュメンタリー賞、短編ドキュメンタリー賞の二部門があるのですが、なにせ日本で全作品を観ることは不可能です。

 

今回紹介する『A Night at the Garden』は短編ドキュメンタリー部門にノミネートされました。

ちなみに受賞したのはNetflix製作の『ピリオド 羽ばたく女性たちへ』です。

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今作は昨年に公開されたインド映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』で描かれたように、インドにおける女性を生理事情を発端に女性の社会進出などを描いたドキュメンタリー作品になっています。

これはこれで素晴らしい作品ですのでNetflixで是非みてください。

・ 本題です

今回紹介する『A Night at the Garden』はたった7分の短編で、なんと全編がYouTubeにアップされています!

しかも英語字幕付きなので有難い!

 

フィルマークスでもこの知名度の低さです。。

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さあさあ、

未見の方もこのままリンクで見てください!

衝撃を受けますよ!


A Night at The Garden - Field of Vision

どうでしたか?

こんなに恐ろしい事があったなんて知りませんでしたよね。

 

まずこの映画の内容は、

1939年のアメリカ、ニューヨークのマディソンスクエアガーデンの様子です。

2万人のナチス信者が集会を行い、そこで扇動する者がユダヤ人排斥を訴えているのですが、反対派の青年が一人壇上に上がると彼らにボコボコにされてしまい、しまいには警官隊も入ってきて彼のズボンを引きずりおろして取り押さえる事態に。

 

というのがおおまかところです。

 

まず驚いたのが、

1939年にナチスの集会がアメリカでしかも2万人も集まっていたという事実です。

このドキュメンタリーを制作したマーシャルカリーも、この事実を友人に知らされるまで知らなかったそうです。

アメリカでは恥ずべき歴史、そしてナチスアメリカと対立しアメリカ人が殺されていくということから反ナチが広まった事で収束してしまったという点から非常にマイナーな歴史として扱われているそうです。

 

"忘れちゃいけない"という理由だけでこの作品が作られたのか?

 

マーシャルカリーはアメリカで起きたシャーロッツビルの事件を観てこの作品を作らなくてはと決心したそうです。

シャーロッツビルの事件というのをご存知ですか?

www.bbc.com

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 詳しくはこちらの記事に書かれていますが、

2017年の8月11日~12日に白人極右集会での出来事でした。南北戦争の連合国側の将軍の銅像を公共の場から撤去することに反対しオルタナ右翼、ネオナチ、白人至上主義などが集まり、「右翼を団結せよ(Unite the Right rally)」というスローガンでネットなどで分散されていた右翼の人々が集合したのです。

これに対してアメリカの左派の団体や人種差別反対を掲げる団体も終結し、この集会に対しての抗議活動を行います。

ここでの衝突は激化し州知事が非常事態宣言を出すほどになりました。悲劇が起きたのはその後です。一台の自動車が抗議グループにつっこみ死傷者を出してしまったのです。

 

このような事態に対してドナルドトランプは白人至上主義だけが悪いのではなく「双方が悪い」という本音の発言をし、その後に原稿に書いてある通りに「白人至上主義は悪い」と明らかに言わされている雰囲気を出しながら訂正しました。

 

この事件以外にもトランプは割合が減少していく白人層の支持を得るために、移民反対などをおしすすめてきました。

 

これってこの『A Night at the Garden』で描かれたものと似ていませんか?

ユダヤ系移民の増加によって発生したこのナチズムの集会、この出来事の裏では強制収容所が作られ、数か月後には第二次世界大戦が始まりました。

もちろん当時の人は収容所やホロコーストの事は知らなかったかもしれません。

 

だから怖いんですよね。

マーシャルカリーは自分たちが人種、宗教などでカテゴライズされている時に自分に面白く都合の良いことを言って扇動してくれる人の登場する危険性を指摘しているのです。

 

これはアメリカだけでなく世界中で起きている問題で自分の属するグループに都合の良い事をいう代表者で良いのか?

 

私たちはその先にある結果をこのような歴史から学ばなくてはなりませんよね。

 

最後に長文読んで頂きありがとうございました。

最後に今作をまだ観ていない方はぜひ観て下さい。

リンクを下にも貼っておきます。 


A Night at The Garden - Field of Vision

 

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